不景気、賃金格差の問題が言われるようになって久しいですが、
私たちは実際に生涯でどのくらいの賃金を稼ぐことができるのでしょうか。
また、高卒と大卒で生涯賃金はどちらが多く稼ぐことができるのでしょうか。
調べてみたら意外な事実がわかってきました。
男女別・学歴別の生涯賃金
学歴別の生涯賃金が出ていましたので、まずはグラフを貼ります。
(以下、モノクロのグラフは全て(独)労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計2014」より)
この統計による数値は以下のようになります。
◆男性
中学卒 1億7千万円
高校卒 1億9千万円
高専・短大卒 2億円
大学・大学院卒 2億5千万円
◆女性
中学卒 1億1千万円
高校卒 1億3千万円
高専・短大卒 1億6千万円
大学・大学院卒 2億円
こうしてみると、やはり学歴が高いほど生涯賃金も比例して高くなっていることが分かります。
高校卒と大学卒では、男性で6千万円、女性で7千万円もの差がついています。
しかし、これに違った視点を加えてみると様子が変わってきます。
男女別・学歴別+企業規模別のグラフ
今度はこちらのグラフを見てください。
これは勤める会社の規模で生涯賃金を分けたグラフです。
例えば、男子大学・大学院卒であればこの統計によると、
企業規模が1,000人以上なら約2億9千万円の生涯賃金となります。
しかし、企業規模10~99人の企業では約1億9千万円となっており、
1億円も生涯賃金が安くなってしまいます。
一方、高校卒であっても1,000人以上の規模の企業に
勤めることができれば、
その生涯賃金は男性で約2億3千万円となっており、
上記の1億9千万円を上回ります。
さらに、中学卒でも1,000人以上の企業では、
生涯賃金(男性)は2億1千万円となり、
こちらも1億9千万円を上回ります。
つまり、生涯賃金が
大学・大学院卒<中学卒<高校卒
ということが現実にありうるのです。
ちなみに女性の場合は、
大学・大学院卒(10~99人の規模)で約1億8千万円。
中学卒、高校卒(いずれも1,000人以上の規模)では
それぞれ約1億4千万円、約1億7千万円となっており、
男性のような逆転現象は起こっていません。
「平均」に満たないという実感
世間では3分の2が中小企業だと言われています。
ですので大学・大学院卒の方でも、
かなりの割合の方が上記の10~99人の規模の会社に
勤めているのが実情ではないでしょうか。
テレビなどのニュースでも「平均年収」などがよく報じられていますが、
その時の数字が「自分はそんなにない」という実感の方は多いと思います。
これは、多くの方が中小企業に勤めているのに、
一部の大企業に勤めている方々や、一部の潤っている業界の方々が
「平均」の数値を押し上げるからです。
2014年の平均年収の分布(「転職サービスDODA」より)を見てみると、
平均年収は442万円となっています。
しかし、最も多いのは300~400万円未満の層で、
300万円未満の層と比べるとほぼ50%になります。
しかもこれらは全体の平均なので、
テレビなどで聞く「一部上場企業」などの数字と比べると
かなりの割合の方が「自分はそんなにない」というのが
実感になってくると思います。
関連記事:日本の格差社会の原因と所得格差の意外な推移が悲しい…
今後の展望
先ほどの生涯賃金のデータは、
各年齢がもらっている現在の給与水準が
そのまま維持されればという前提の推計となっています。
果たして、その前提は正しいのでしょうか?
生涯賃金の年毎の推移を見てみます。
ご覧のように、どの企業規模も、男性も女性も、
緩やかに下がり続けています。
最近では一時的に「賃金が上がった」などという
ニュースも聞こえてきますが、
これも一部の大企業のことであったりすることが多いです。
仮に全体として上がって行ったとしても、
それは、「平均」が上がっていくだけで、
儲ける人は儲けているが、
厳しい人はますます厳しくなるという「格差」が
歴然と生じていくことになっていくでしょう。
もうすでに何度も耳にしていると思いますが、
ますます「自分の身は自分で守る」時代になってきています。
現在私は、そんな時代の流れのなか会社だけに頼るのではなく、
複数の収入源を作り上げて、少しでも経済的な安定を
実現したいという方々へ向けてメルマガを発行しています。
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