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10年以上も前に日本テレビ系列で放送されていた人気番組「¥マネーの虎」。

毎回、ビジネスプランを持った志願者と、
それを審査し、気に入れば投資を行う「虎」たちの
真剣なぶつかり合いが見もので、

多くの視聴者を惹きつけていました。

この番組から輩出された数少ない成功者である
パソコンレスキューの男を今回は考察したいと思います。

怒号飛び交うなか、見事大逆転

志願者の男性が持ってきたビジネスのアイデアは
トイレの出張修理や鍵の救急車のようなサービスのパソコン版。

すでに中古パソコン屋を経営しており、
その中古パソコンも利用したビジネスモデルです。

車で街中を巡回し、
パソコン修理が必要な人の家にこちらから出向きます。

そして車修理の際の代車のような感じで
代替のパソコンをその家に置いていきます。

このとき、お客さんから預かるパソコンより
性能のいいものを置いて行くことでその良さを
味わってもらいます。

そして、修理の見積もりと代替のパソコンの価格が
あまり変わらなければ、
中古のパソコンを買ってもらえるというメリットもあります。

斬新なアイデアのビジネスプランでしたが、
虎たちの一部から怒りを買います。

「考えを言っているだけで自分で何も始めていない」
「ガソリン代まで投資してくれって甘えている」
「そんなんじゃ絶対成功しない」

散々こき下ろされてしまいます。

しかし、この志願者は心折れることなく
「とにかく私はこの仕事がやりたいんです」
「絶対成功します」
「自社ビルを建てたい」
「私がやらなくてもいずれ誰かがやるビジネスです」
と虎たちに言い切ります。

そうした熱意とビジネスの着眼点の良さから、
結果、2人の虎が出資を決断し、
見事に希望額の670万円を獲得しました。

惨敗のオープン初日

手にしたお金をもとに開店準備を始めた志願者。

途中、奥さんが寝込んでしまうなどのトラブルも乗り越えて
いよいよオープン初日を迎えました。

一緒に会社をスタートさせることになった仲間とともに
街を巡回しながらチラシを各家庭に撒き、声をかけていきます。

ですが、そんなに上手くいくものでもなく、
まったく注文が取れません。

怒号を浴びせた虎たちの言ったような
展開になっていってしまいます。

一緒にまわるパートナーとも不穏な空気が流れ始めるなど、
結果、初日は受注がゼロで終わってしまいます。

200軒の家をまわり、30件の受注を取るとノルマ設定しましたが、
完敗の結果となってしまいます。

そしてその後

しかし、その後1年以上経って
番組MCの吉田栄作さんがこの志願者の元を訪ねます。

すると順調にビジネスを拡大している志願者がいました。

この時点で3店舗目を出すところだと言っており、
その後、念願の自社ビルも建ててしまいます。

現在この志願者の会社のホームページを見てみると
8店舗にまで拡大しています。

⇒パソコン救急バスターズ

この志願者の先見の明は確かだったということです。

そしてこの志願者に投資を決めた2人の「虎」も然りです。

必要なこと

この志願者の場合、プレゼンテーションの時点で
虎たちの評価が完全に分かれました。

「絶対に成功しない」という虎と、
「応援したい」という虎。

否定派の虎たちは
この場に来る前にやっておくべきことをやらずに
最初からお金をくれとだけ言いに来るなんてのは駄目、
と言っているようでした。

肯定派の虎たちは、
未熟な部分はあるがそれでも構わない、
(マネーの虎は)そのための番組。
なので着眼点とやる気を応援する、
と言っているようでした。

僕たちがしっかりと見なければならないのは、
肯定派の方の言っていることも、
否定はの方の言っていることも、
どちらも「意見」であるということです。

どちらの意見も、正しい“かもしれない”のです。

状況によって正しくなったり間違ったりもするでしょうし、
実行する人のちょっとした性格によっても正解なのかどうかは
変わってくることも普通にあります。

それぞれの側の声だけを聞いていると
どちらの言っていることも「まったくその通り!」に
聞こえることもしょちゅうです。

今回の虎たちの意見も
否定派の言っていることももっとな部分も感じます。

ですが、この志願者は自分のやり方で
成功させてしまいます。

もっと言えば、
他の志願者のなかには番組で出資をしてもらえず、
しかしその後成功している人物もいます。

僕たちに本当に必要なのは、
どの意見がチャレンジするに値すると思えるか、という観点で
その意見を見るということだったりします。

つまるところ、僕たちは大なり小なり、
分からないことへの挑戦を続けているわけです。

分かっていることしかなければ、
それはもう挑戦でもなんでもなく、
自分のなかで問題にすらならず、ただそれを行うだけです。

あなたが100円持っていて、
目の前に100円のドリンク自動販売機があって、
あなたが「そのドリンクを飲む」という目的を設定したとき、

その目的は達成されますよね?

あなたはそこに何か面白みを感じるでしょうか。

あなたはそこに何か問題を感じ、
「私はどのようにしてドリンクを手に入れて飲もうか」と
悩み苦しむでしょうか。

僕たちは、分からないことに気持を奪われ、
時にワクワクし、時に悩み苦しみ、
他人からのアドバイスを欲し、
そして何らかの選択をしていくのです。

そうして、選択したことに対する結果を味わって、
また次の「分からないこと」に向かっていくのです。

「¥マネーの虎」はそんなことを
しみじみとあらためて考えさせてくれます。

◆虎たちにひるむことなく企業を願う本気のプレゼン◆
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